世界的な芸術と文化の創造者にささげる「第20回高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・財団法人日本美術協会=総裁は常陸宮殿下)の受賞者が14日、東京・虎ノ門のホテルオークラで会見した。演劇・映像部門の受賞者、歌舞伎俳優の坂田藤十郎氏(76)は「年のことは忘れ、生まれ変わってやりたいという気持ちでいっぱい」と喜びを語った。授賞式は15日、東京・元赤坂の明治記念館で行われる。
名古屋・御園座で「第四十四回 吉例 顔見世」に出演中の藤十郎氏はこの日、受賞会見を欠席。昼の部で「京鹿子娘道成寺」を踊ってから、東京のインタビュー会場に駆けつけた。
平成17年、大名跡を襲名後、ますます多忙になった。76歳とは思えぬ強靱な肉体を維持する秘訣を聞かれ、「あまり意識してやっていることはないですね」とサラリ。「精神の持ち方が大事なんじゃないでしょうか。前向きに何かやろうとする気持ち、ですか」。『一生青春』を座右の銘とする藤十郎らしい答えが返ってきた。
はんなりとした色気を醸す女形、戯曲の深い解釈、圧倒的な芸容の大きさで、現代を代表する歌舞伎俳優。自身のアイデンティティーともいえる上方歌舞伎を中心に、「吉田屋」の伊左衛門など上方和事の二枚目や「仮名手本忠臣蔵」の戸無瀬のような立女形の役どころまで芸域は広い。
とりわけ、近松門左衛門作「曽根崎心中」のお初は、昭和28年の初演以来の当たり役。海外での上演も多く、「“愛”は古今東西を問いません。ロンドン公演のカーテンコールでは、『よくわかったよ』という拍手をもらいました」と自信を得る一方、襲名を機に「もう一度、自分の芸を丁寧に洗い直してやっていきたい」と謙虚だ。
「21世紀というのは芸術の世紀だったらいいのになと思います。もっと多くの芸術に携わって、お客様も芸術にどっぷりとつかって、この賞がもっともっと世界にわかっていただけるようになったらいいですね」
来年6月、新国立劇場で上演される「修善寺物語」で、自身初のオペラの演出に挑戦する。「歌舞伎役者が演出をした、という色を出したいんですよ」。一生“青年”の飽くなき挑戦は続く。