全国高校サッカー選手権最終日(12日、国立)愛する息子を応援したスタンドの父母が、涙ながらに絶叫した。「皆で実った勝利! 本当に“皆実”だ!」。校名そのまま。みんなの力で初の頂点へ、広島県勢としても67年度大会の山陽(京都・洛北と両校優勝)以来、41年ぶりの全国制覇へと駆け上がった。
「うれしい。皆実の歴史を変えられた」
はにかんだのは2得点のヒーロー、FW金島悠太(3年)だ。0−1の前半23分、MF佐々木進(3年)の折り返しを右足で決め同点。2−2の後半21分には右クロスを頭でたたき込み、栄冠を導いた。「大迫(勇)みたいに1人で打開できる選手はいないけど、皆で培ってきたものを出せた」と胸を張った。
先発11人中7人が広島ジュニアユース出身。同ユース昇格を果たせず、高校の部活動へ進んだ。15歳の大きな挫折。しかし「広島県の高校にとって、サンフレッチェの功績は大」と藤井潔監督(35)。Jの組織で磨かれた技術の基礎は大きかった。さらに「ユースに選ばれなくて“皆実でやってやろう”という気持ちがあった」と主将のDF松岡祐介(3年)。反骨心が成長を促した。
文武両道の県立進学校だ。先発の3年生10人中7人が明大など大学へ推薦入学を決め、残る3人は17日にセンター試験を受験。うち2人は、1点目を決めた金島と佐々木のコンビ。同室の宿舎で決勝前夜も、一緒に3時間も勉強した。金島は阪大を志望し、将来は弁護士を目指す。
「本気でサッカーをやるのはここまで。最高の形で終われてよかった」と金島。みんなの夢が現実に。そして、最高の思い出となった。(須田雅弘)